② 後見人制度

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Q1.  後見人の仕事について教えてください。

イラスト:施設

 A 

認知症・知的障害等によって、物事の判断が十分できない人の大切な財産や権利を守る事です。主に「契約や財産管理」「身上監護」などです。
「身上監護」と言っても、身の周りの世話をする訳ではありません。施設の入居契約や、治療の契約など、主として法律面からのバックアップをします。

(回答者:赤羽法律事務所 氏家義博弁護士


Q2.  軽度な認知症などでも後見制度は必要でしょうか?

イラスト:悩む夫婦

 A 

後見制度には種類があります。障害の程度によって区別され、必ず与えられる権限に違いが有ります。


 区分1:後見
  判断能力が全くない方の場合
  後見人には財産管理についての代理権・取消権が与えられます。


 区分2:保佐
  判断能力が著しく不十分な方の場合
  特定の事項に関する同意見・取消権が与えられます。

 
                        区分3:補助
                         大体の事は自分で判断できるが特定の判断能力が不十分である場合
                         特定の事項の一部についての同意見・取消権
                         特定の法律行為についての代理権が与えられます。

(回答者:赤羽法律事務所 氏家義博弁護士


Q3.  区分ごとの権限について、具体例や注意点を教えてください。

イラスト:悩む男性

 A 

区分1:後見
1、判断能力が全くない方に代わって、後見人が全般的に代理して契約や財産管理を行います。
2、預貯金の管理や、賃貸住宅の契約、各種事務手続きなどを、後見人が単独で行う。

 (本人自身が契約等を行うことはできません)

注意点
 日用品の買い物など、日常生活に関する行為については、本人も行うことができます。


区分2:保佐
一定の重要な行為を行う場合に、保佐人の同意を必要とすることで、本人を守る制度(「同意」なので、代理権はありません)
一定の行為とは・・・
・借金 ・保証人 ・不動産売買 ・訴訟行為 ・贈与 
・遺産分割 ・新築、増改築、大修繕 などです。
「一定の行為」を、家庭裁判所の判断で追加することも可能です。特定の行為について、代理権を取得することも可能です。


区分3:補助
1、必要な行為についてだけ、補助人の同意を必要とさせたり、補助人に代理権を与える制度です。

  例えば、「日常的なことは自分で出来るので、後見や保佐までは必要ないが、以前に騙されて保証人になったことがあるので不安」 

  →保証人になる契約を結ぶときだけ、補助人の同意が必要としておきましょう。

2、ご本人の状態に応じて、柔軟な対応が可能です。

※注意点
 補助を開始するには、ご本人の同意が必要です。

(回答者:赤羽法律事務所 氏家義博弁護士


Q4.  後見人制度とは、簡単に説明するとどのような制度ですか?

イラスト:説明する男性と聞く女性二人

 A 

認知症や加齢・疾病などによって意思判断能力が低下し社会生活困難になった人(判断ができなくなった人)の自己決定権を尊重しながら、本人の利益を図っていくための制度だと考えられています。

(回答者:司法書士法人 赤羽法務事務所 春日 順子 先生


Q5.  後見人制度の必要性について、どのようにお考えですか?

イラスト:認知症の男性

 A 

高齢化社会において認知能力の低下した人(完全には失っていない人)が増え、これまであった制度だけではサポートできなくなったためにできた制度だと思います。これまでは「本人の権利」が制限されていましたが、後見人制度では「自己決定権」が尊重され、財産などの管理をしながら本人と共に歩んでいく仕組みになっています。

(回答者:司法書士法人 赤羽法務事務所 春日 順子 先生


Q6.  どのような状況で相談される方が多いですか?。また、本人の希望による場合はありますか?

イラスト:3世代家族

 A 

本人たっての希望で…という方も中にはいらっしゃいますが、家族からの相談がほとんどです。それも遺産分割協議を行なわなければならないなど、必要に迫られてからの依頼が多いように思われます。

(回答者:司法書士法人 赤羽法務事務所 春日 順子 先生


Q7.  本人が判断できない場合でも後見人制度を受けることはできるのですか?

イラスト:診察を受ける女性

 A 

はい、可能です。但し、認知症とみなされるには必ず「医師の判断」が必要です。認知症になった方には「調理ができなくなる」「道が分からなくなる」「今やったことが分からなくなる」「ガスを消し忘れる」「入浴ができない」などの症状が見受けられるのですが、「何となく認知症かも…」という曖昧なものではなく、テストを受けたり脳の萎縮を調べたり、場合によっては評論家の意見を交えながら医師が判断します。その結果を元に、本人(被後見人)に今後襲い掛かるであろう不利益を根気よく説明し、理解していただいた上で制度を利用していただくことになります。

(回答者:司法書士法人 赤羽法務事務所 春日 順子 先生


Q8.  後見人制度の問い合わせは、どれくらいの頻度でありますか?

イラスト:電話対応する女性

 A 

飛び込みで月に1名程度。あとは提携しているリーガルサポートからの依頼で、月に2~3名程度ご相談があります。後見人には「親族後見人」「職業後見人」の2つがあり、当方ではこういったご依頼を受けて「職業後見人」となっている方が約10名ほどいらっしゃいます。また、時には裁判所から選任される場合もあります。

(回答者:司法書士法人 赤羽法務事務所 春日 順子 先生


Q9.  後見人制度のメリット・デメリットを教えてください。

イラスト:メリットとデメリットの天秤

 A 

【親族後見人の場合】
メリットは、親族のため報酬や手数料などの費用が掛からないことです(ちなみに報酬は職業後見人が決めるのではなく、裁判所がその額を決めます)。
デメリットは、時間が拘束されることです。年に一度、被後見人の財産に対して領収書などを添付した上で収支報告を行なわなければなりません。その管理が悪い場合には、後見監督人を付けられたり、専門人に変更される場合もあります。特に親族後見人の場合は、管理している後見人の財布と被後見人の財産を分けて管理しなければならないのですが、どうしても混同してしまいがちになるので注意が必要です。

【職業後見人に依頼する場合】
管理を依頼するため、時間の拘束がなくなる分、報酬などの費用が掛かります。

(回答者:司法書士法人 赤羽法務事務所 春日 順子 先生


Q10.  後見人制度を依頼する場合の費用は、どれくらいになりますか?

写真:家庭裁判所

 A 

先述の通り、月々の報酬額は私共ではなく家庭裁判所が決めるものなので、場合によっては若干異なりますが、おおよそ月に2~3万円程度とお考えいただいています。初期費用も財産額によりますが、だいたい15万円程度になります。但し、この初期費用は被後見人の財産から出してはいけないことになっているため、ご依頼いただいた親族の方の負担(もしくは身寄りがない人は市区町村が負担)となります。

(回答者:司法書士法人 赤羽法務事務所 春日 順子 先生

Q11.  後見人制度の簡単な手続きの流れを教えてください。

イラスト:説明する女性と聞く親子

 A 

準備期間として2~3ヶ月掛かります。
①ご相談 → ②医師の診断書 → ③ケアマネージャー(介護支援専門員)による本人情報シート作成 → ④親族との話し合いの上、同意書 → ⑤財産目録作成 → ⑥収支状況の確認 → ⑦申し立て、といった感じです。

(回答者:司法書士法人 赤羽法務事務所 春日 順子 先生