取材日記 番外編【第4回】セカンドライフを楽しみながら、もしもに備える

RanRan

@取材日記 第9回赤羽セミナー④ セカンドライフを楽しみながら、もしもに備える

くらしの相談会~年代別に終活について考えよう~」をテーマに開催された第9回赤羽セミナー&無料個別相談会で、赤羽の身近な専門家たちの話から、「くらしに関わる課題解決のヒント」をご紹介する4回目です。

セカンドライフを楽しみながら、もしもに備える

専門家の方々にとっての「終活」とは?

株式会社らいふ保険サポート 藤田顕也氏
終活とは、「想いを実現していくこと」
60代、70代はまだ若い。人生これからです。(平均寿命が)男性は81歳。女性は87歳。まだまだ10年20年あるわけです。これから先、就職活動の「就活」をして第二のセカンドライフとして仕事をする方もいらっしゃいます。それがまた一段落してここから先の終いの「終活」される方もいらっしゃいます。その中で、自分がやりたかったこと、やり残したこと、これら全てを叶えていくということで「想いを実現していく」。
これが「終活」だと思います。
私の座右の銘「わが生涯に一片の悔いなし」という終わり方をしたいと思います。

社会保険労務士法人らいふ社労士事務所 福島継志氏
終活とは「不安からの解放」
皆さん、お金の不安をお持ちだと思います。ご自身の将来にわたってのお金に関して、しっかり把握をしていただきたいと思います。年金は助け合いでできているもので、困った人に届くものです。仕事を退職されたから渡す、障がい者になったからその方がもらう、困っている方に届くものなのです。今でこそ「SDGs」という言葉を小学生でも知っている時代ですが、年金は昔からSDGsと同じような考え方で、困っている人、全ての人に同等にという意味合いを持っています。社労士の立場から、皆さんに、ぜひ年金のことを前向きに考えていただきたいと思います。

赤羽高齢者あんしんセンター 藤井恭子氏
終活とは、「心も頭も くっきり すっきり」
日頃、高齢者やそのご家族と接していて、「エンディングノートを書きました」とか、「エンディングノートを書こうと思っています」という話をお聞きします。自分が死に向かうこととか、そこに対して抵抗感があると、なかなか書こうと思っても書けない。でも、書き終えた方たちは、皆さんキラキラしていらっしゃいます。気持ちがすっきりして視界が開けた気がするという方がたくさんいます。「自分はここから楽しむわ」と元気にサロンに通われるようになった方を大勢見ています。
最初の一歩はハードルが高いかもしれませんが、それを乗り越えた先に、「頭も心もくっきりすっきり」して少し視界が開けた世界に出会えるようです。

株式会社相栄商事 西野泰彦氏
終活とは「Endingnote and Next」
「Next」とするか「New」とするか迷いました。100歳まで生きるという目標を持って、次のステージに向かう。New Stageとして天国に行くか地獄に行くかはわかりませんが、そこでまた新しい所帯を持って、棺桶を作る。今もそうですが、(エンディングノート)とっかかりがあれば100歳生きていけると思います。
終活はエンディングノートを書くこと。相続のこととか書いてもいいですね。エンディングノートに書いておけば、子どもたちもわかってくれると思います。

赤羽法律事務所 金沢裕幸氏
終活とは「争族を未然に防ぐ特効薬」
トラブルを未然に防ぐための特効薬として、遺言書を作っておくことが大事だと思います。私たちのところに相談に来られる方でも、弁護士の立場から大変な争いになっていると感じるケースが多いのですが、遺言書を書いておけば防げたと感じています。
遺言書というと大げさな感じがするかもしれませんが、自分で書くパターンと、そうでないパターンがあります。費用がかかるものではないし、1回書いて作り直すことも簡単にできます。先ずは、気軽にご相談いただけたらと思います。

司法書士法人赤羽法務事務所 春日順子氏
終活は「自己決定権が尊重されるようにすること」
どうしても自分で決める「自己決定権」という言葉を入れたいです。
自分がちゃんとしている時に「私がぼけたらこんな介護がいいわ」「こんな色の洋服に包まれてベッドに横たわりたいわ」というようなことを頼んでおく。
ぼけたらお願いできるという「任意後見契約」を親しい方、その人の好みを知っている方、どんな音楽が好きか、どんな終末を迎えたいとかどんな葬儀をしたいと思っているとか、そういうことをわかっている人に任意後見をお願いすることを勧めます。
そして、次の世代にどうやって遺産をバトンタッチしたいのかを遺言書を書いておく。
「自己決定権」を終活のキーワードにしました。

税理士法人西川会計 小林仁氏
終活とは「家族への想いを残す」
相続税の相談に乗ることが多いのですが、亡くなった後どうしたかったのかということを残された家族がご存じないことが結構あります。遺言書がベストなのかもしれませんが、遺言書までいかなくても、家族のなかで一度、要望などをお話していただけるとよいと思います。
それからひとつ、皆さんにお願いがあります。
最近はインターネットの普及で、証券会社や銀行などから紙による通知が来なくなりました。相続人が、お父さんが持っている財産のことがわからないんです。昔はハガキとかで通知が来たので、それで把握できていたのですが、今は把握が難しくなりました。エンディングノートを書かれたらいいと思います。

有限会社伊勢屋葬祭店 諏訪晃嗣氏
終活とは「感謝」
終活の「終」は「終わり」ではなくて、「終う(しまう)」という捉え方をしています。
「自分で終う」のではなくて、「終ってもらう」という考え方。そのためには、周りの協力が必要です。そうすると人に対して感謝の念しかありません。「産んでくれてありがとう」「親でいさせてくれてありがとう」「空が青くてありがとう」「五体満足、今日もご飯が食べられてありがとう」そういった気持ちで、自分の今までの活動をまとめる作業が「終活」だと思います。

宗教法人正光寺 髙橋寿光氏
終活は「毎日を健やかに生きていく」
住職という立場でお話しすると「守り本尊になるための準備」となります。
亡くなった後の私たちには必ず役目があって、「守り本尊」として残された人に祈る対象と環境を提供します。残された人がそれに対し向かい合って反省し、これからの人生を豊かに生きていく機会や場所を提供すると理解しています。
終活というのは、そのための「準備期間」と捉えています。
では、準備とはなにかというと、2つあります。
環境を整えることと、後々祈って欲しい人にどういうふうにして欲しいかを伝えておくことです。
まれに「自分が亡くなった後なんて自分を慕っていないのでは」とおっしゃる方がいますが、そんなことは全くなくて、そう言って亡くなった方に対しても、後々訪ねてきてお墓を探しているということが結構あります。
なので環境を整えるということは、亡くなる人にとっての最期のお仕事だと思っています。

次回取材日記番外編 第5回「葬儀・お墓・いきがいについて」は2024年4月の掲載を予定しています。

ご期待ください!


第5回「葬儀・お墓・いきがいについて」に続く